お山の森の木の学校

設立趣旨書

1 趣旨

 

 森林の保護や大切さが叫ばれる昨今、それとは裏腹に森林は様々な危機に直面している。森林資源が経済の基盤になるようなしくみが存立し得てはじめて、森林は植林、保育、伐採の健全な循環が保たれる。さらに、森林資源を利用した産業が多様化することによって、健全で、保続的な森林環境の維持・多様化につながっていく。しかし、森林資源を現代の経済循環の中に取り込み、それを地域産業として成立させることは容易なことではない。それには森林や環境や経済に対する意識改革も必要である。

 

 木はその生き物であるという特質から、非常に不均質な素材である。その素材がプラスチックのような素材と同等に扱われ、欠点を克服しつつ、工業生産に順応させられてきた。しかし、このことが、逆に木が他素材よりも劣る素材であるという意識を浸透させ、木製品の需要を低下させてきた原因の一つになった。木の本来の価値を見出し、木工品等の需要を上げていくためには、木の生物的特質を逆に生かして、欠点を利点にしていくようなモノづくりの姿勢が必要である。

 

 最近、木を切ることは悪いことであるという意識が少なからず出てきている。このことは、生き物を大事にする心、地球温暖化など環境問題への関心の高まりなどの反映でもある。しかし、木を利用することは、わずか100年程の循環で生活物資やエネルギーを再生産することでもある。木を利用し、植えて再生産することが実現でき、わずかでも石油資源に依存し過ぎた分を森林資源に置き換えることができれば、環境問題を克服していく一助になると考えられる。

 

 一方、地域に目を向けると、森林に対する上流と下流の意識に大きなズレが生じている。森林に対する、山村地域の人々の意識と、都市周辺に生活する人々の意識が、前者は私有財産的であるのに対して後者は公共財産的である。このことが森林資源の利用を少なからず妨げている要因となっている。

 

 これらのことを克服し、より良い森林環境や地域経済を実現するためには、一刻も早く、森林に対しての意識改革を進め、地域の森林資源を利用した先駆的な経済基盤づくりの先行事例が必要である。そこには、長い間培ってきた山人の技や知識や思想が不可欠であり、そして、都市部からの情報や知識、技術や人を融合させることが必要である。地域に残る技や思想や、新しい技術や思想を、地域密着型の生きた森林教育、木を通してのものづくり体験、本物の木工品とのふれあい、新しい木工品の開発などを通して未来を担う子供たちを中心にした広く一般の人々に伝えていく必要がある。そして教育の場としての森林、多様な木工・木工芸の材料供給の場としての森林、きれいな空気や水の供給の場としての森林、心の癒しの場としての森林―その各々が地域産業として成立すれば、地域社会の再生が可能となり、病める森林が公益的機能を十二分に発揮できる健全で保続的で多様な森林へと姿を変える。この先駆的基盤づくりを目指さなければならない。

 

 また、森林は高度に公共的な資源である反面、地域にとっての大切な財産でもある。この資源を有効に活用するためには、既存の地域、行政、民間などの組織だけでは自ずと限界がある。森林を守り、現代社会において森林を有効に利活用していくためには、地域と行政と民間の間に立ち、かつ生産性と社会的信用のあるNPO法人の役割が不可欠であると考えられる。

2  申請に至るまでの経過

 

 

 中ノ沢渓谷森林公園は地元中ノ沢集落の任意の組合である公園管理組合が管理運営に当たっている。

 平成13年頃から、公園内の施設である森林科学館の木工体験や森林体験の需要が増大し、平成15年には3000人に迫るまでになった。

 

森林科学館の業務は高度な知識や技術が要求されるものもあるため、管理組合だけでは対応が困難になりつつある。

 平成15年9月、この問題を解決すべくNPO法人と管理組合の協同管理の案が提示され12月にはその方向で進めることになり、今回申請するに至った。

 

平成16年2月8日

特定非営利活動法人 お山の森の木の学校

 

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